横スクロール格闘アクションの元祖にして伝説‼
そして僕らは二匹の龍になった!!
ファミコン戦国時代の平成元年(1989年)。テクノスジャパンはアクションゲームの世界に伝説を残す作品をナントっ!二本も作っているのだ~っ!!
一本はその年の4月にリリースされた『ダウンタウン熱血物語』、そしてもう一本が12月にリリースされた『ダブルドラゴン2 ザ・リベンジ』(以下ダブルドラゴン2)だ‼
ベルトスクロールアクションの二大巨頭爆誕であ~る‼ 今回はシリーズ二作目にして最高傑作『ダブルドラゴン2』の魅力を全力紹介じゃ~~い!!どらららっ!
←赤、青、緑に黄色。そして白と黒!!完璧すぎるタイトル画面にボ~然っ!!
ガガーンと響くタイトルBGM。ダブルドラゴンのメインテーマがシブ~いアレンジにっ!
なんと‼ ダブルドラゴン2には奥義がある!
パワーアップした双截拳!三つの必殺技をマスターしてキミだけの闘い方を極めよう!!
龍尾嵐風脚、天殺龍神拳!奥義の名前も見た目も超カッコいいぜっ!
↓奥義爆魔龍神脚がリンダに決まったっ!
刮目せよ! 上の写真をっ‼ なんとファミコン「ダブルドラゴン2」には必殺技が三つもある! 入力のタイミングをしっかり覚えればバンバン出せるようになるぞっ! しかも、どの技も敵に当てると気持ちよく吹っ飛ぶので気分ソーカイなのだっ‼
←やられたっ! ヘリからの銃撃だっ!
今作もキケンなギミックがいっぱい!!
宿敵打倒!個性的な敵キャラが登場!!
『ダブルドラゴン2』には個性的な強敵がつぎつぎに出てくるぞっ!!
←嵐風脚がかわされたっ!!飛行中のヘリ内でBOSSのボロと決戦だっ!
ヤンキー、パンクス、ゴロツキはもちろん。拳法家 に忍者、大男にサイボーグ!? こんなにたくさんのキャラクターが出るんだから、バトルの白熱はまちがいなしっ! 肘鉄や側転、ショルダータックルや手裏剣に、あの飛び道具まで使ってくるやつもいるときてる。ダブドラ2のバトルはメチャ盛り上がるのだっ!!
これぞダブルドラゴン!色んな場所での闘いが熱いっ!!
ヘリの中、エアポート、森に川、ブルドーザーに敵のアジト、そして緊張感あふれる水平線上のバトルも健在!
←ボローっ!またお前か~っ‼
ひぇ、こんなところでブルノフに捕まったっ!!
『ダブルドラゴン』といったら様々なステージがプレイヤーを飽きさせないのだっ!!今作でもモチロン!足元の悪い場所や一発アウト確実のキケンな場所での闘いが展開されるぜっ!!
こんにちは。モジゃもんです。ここからは僕が”ダブルドラゴン2”であそぶときにやっている攻略法をお教えします。同じゲームで遊んでいるクラスの友だちの話、くらいの距離感で見てくれるとうれしいです。
その1
連続爆魔歩きと起き上がり爆魔をマスターしようっ!!
きゅぴらしゅーん、きゅぴらしゅーんでズビャーオンです!
爆魔龍神脚を自在に出せるかどうかはダブルドラゴン2を楽しむ要素としてとても大事です。コツとしてはしゃがむモーションを見る前に入力すること。少しむつかしいのですがこの二つの技をマスターすると超楽しいですよ。
その2
地形を利用した闘い方をしようっ!!
段差を利用した嵐風脚や一撃死を狙って落とすんです!
こんな感じで段差や地形を利用して嵐風脚をぶちかましたり、はしご昇降中の敵を狙い撃ちします。あとは落とせるところでしっかり落としましょう!ディフィカルトモードをクリアするためには必須です。ヘリから外に吸い出されるボロを見ていると切なくなりますが、心を鬼にして落としましょう。
その3
とにかく楽しもうっ!!
そうです!このゲームは色んな闘い方を楽しむゲームです。思い思いの双截拳でアイツとの闘いを思いっきり楽しみましょう!!
うぬの拳を見せてみろ!とか言ってそう・・。
以上です。スタジオさ~ん!!
では、ここからは私、モジゃもんがじっくり考えて決めた懐かしいゲームをたっぷり遊んで評論させていただいて、再び神作となるサイシンサクか、思い出補正だけが拠り所の懐古ゲームかを考える「ゲーム再神作徒然話」です。
今回遊んだのはFC版『ダブルドラゴン2 ザ・リベンジ』(以下ダブルドラゴン2)です。1980年代初頭にデータイースト株式会社にてレーザーディスクゲームを担当していたゲームデザイナー岸本良久さんが、株式会社テクノスジャパン移籍後にディレクターを務めた作品『ダブルドラゴン』の続編です。ディレクターに関本弘之(もけけ関本)さん、キャラクターデザインに緒方考治さん、美術に甲斐浩二さんといったダウンタウンシリーズのお歴々が揃っていて、音楽は山根一央さんです。
えーと、レーザーディスクゲームっていうのは、ゲーム画面がセルアニメになっていて、そのアニメ画面にゲームのインターフェースが張り付いてる感じのモノです。昔はゲーセンでたまに見かけました。ちなみにですが『ロードブラスター』は世界観がまんま映画『マッドマックス』なんですけど、このゲームに出てくる車がAC版『ダブルドラゴン』のOPでガレージの中に停まっているあの赤い車です。
FC版『ダブルドラゴン2』のエンドクレジットを見てみると、スペシャルサンクスとして岸本さんを始めに、ダウンタウンシリーズで関本さんとコンビのようにディレクターをされている吉田晄浩さん、キャラクターデザインの白戸政男さんの名前が出ています。この辺りから窺えるのは、この作品は関本弘之さん主体で制作されたゲームだったということでしょう。
本記事でも書いたんですけど、1989年は4月に『ダウンタウン熱血物語』がリリースされて、12月にはもう本作がリリースされてるんです。しかもディレクターには両作品共に関本さんの名前がクレジットされています。当時のテクノスジャパンはどうなっていたんでしょうね。制作陣の勢いを感じざるを得ないスピード感です。
岸本さんは『ダブルドラゴン』の世界観も『マッドマックス』をモチーフにしていると公言されています。ですが『ダブルドラゴン2』は関本さんがディレクターですし、ゲーム内容も全然その枠に収まっていませんよね。この辺を掘り下げて考えてみると面白そうだなと、僕は思いました。
今回『ダブルドラゴン』をやると決めて、関本さんのブログなどを拝見させていただいたのですが、当時の関本さんが担当されていたディレクターの仕事内容は、キャラクターの設定から画面構成、音楽や効果音のアイディア、ゲームの流れや技の種類にキャラモーション、メッセージテキストにダメージの計算方法までと、要するにゲームに関することほぼ全ての発案をされていたようです。これってもう総合監督ですよね。
『ダブルドラゴン2』はご存じの通り、日本はもちろん、アメリカを始めとする海外でも人気で、本国日本では出版されていないのに『エンター・ザ・ダブルドラゴン』という岸本さんの自伝がフランスで出版されています。僕も読んでみたいのですが、英語すらままならないのに、フランス語は無理っしょってことで諦めてます。
岸本さんと関本さんが交互に出てきて少しややこしいですよね。これは結構大事なことなので、ちょっと整理しておきましょう。
岸本さんは『熱血硬派くにおくん』の生みの親であり『ダブルドラゴン』の生みの親です。
関本さんはFC版『ダブルドラゴン2』の総合監督であり、ダウンタウンシリーズを吉田晄浩さんと共に監督された方です。
さてさて、以上を踏まえた上で始めたいと思います。しかしですね、結論から言ってしまうと『ダブルドラゴン2』はゲーム史に残る大傑作ですし、ネット上でも色褪せない評価を受け続けています。そんな中で新たに語り下ろす必要があるのか微妙な本作ですが、ダブドラファンの端くれとして『ダブルドラゴン2』の魅力を次世代に繋ぐために、自己中心的使命感の下で真剣に考えてみました。お暇つぶしにどうぞ。それではレッツゴー!!
『ダブルドラゴン』は駄菓子屋のライド型アトラクションだった
1989年に『ダブルドラゴン2 ザ・リベンジ』(以下ダブルドラゴン2)はAC版がFC版より先に稼働されているのですが、実は僕自身あまり印象にありません。圧倒的なFC版をやった後にゲームセンターの一角で見つけて「うぉ、ゲーセン版もあんじゃん!」と喜び勇んでやってみたらイマイチだった。というのが本当です。
FC版『ダブルドラゴン2』は発売日が12月22日だったということもあって、僕はクリスマスプレゼントとして親に買ってもらいました。とにかく前作のFC版『ダブルドラゴン』が大好きだったので、発売前に『ファミリーコンピュータMagazin』で紹介された龍尾嵐風脚の画像を見たときはムチャクチャに興奮しまして。当時は写真だけですから。くるくる回る技だなんてわからなかったんですね。だもんであの形で飛び蹴りする技だと思い込んで、友だちと「ひっさつせんぷうきゃーく!」とか叫びながら写真のポーズで飛んで、発売までごっこ遊びしていました。
この形の飛び蹴りだと思ってました。
先ず背景として重要なのは『ダブルドラゴン』のAC筐体が当時の駄菓子屋には高確率で置いてあったことではないでしょうか。駄菓子屋のおばちゃんの生活感とゲーム内容のギャップが大変エグイのですが、ピュ~♪ピュ~♪というボスのBGMとドゥクシ‼ドゥクシ‼バン‼ウェー! が当時は各地の駄菓子屋の風景の中で響きわたっていました。うまい棒をくわえながら丸椅子に腰を下ろして画面に向かうとブロンクスにトリップするという、ライド型アトラクションとして機能していたように思います。
『ダブルドラゴン』は当時の一般的な男の子なら街のどこかで見たことあるという、認知度の高いアクションゲームだったんですね。だもんで、FC版の『ダブルドラゴン』も当然やります。プレイ毎にお金のかかるAC版のリベンジのつもりでやります。怖そうなお兄さんがいつもやってて出来なかった悔しさのリベンジのつもりでやります。そうです。もうここからリベンジは始まってたんですね。
このFC版の1。本当に考えて作られている秀作でした。経験値とレベルのシステムや根暗の拳法家チン・タイメイさんを新しく取り入れたり、本格対戦格闘の元祖はこれなんじゃね? って思えるVSモードもありました。AC版よりグラフィックが劣る点が全く気にならないくらい面白い作品になっていました。もちろん鬼の肘鉄もありましたし。なにより素晴らしいのは効果音と旋風脚なんですけど、それは後でお話しします。
さて、それを受けての『ダブルドラゴン2』です。
世界観は映画『ウォリアーズ』(1979年)
デザイナーの岸本さんは『マッドマックス』をモチーフにしているとインタビューで仰られていますが、ちょっと贔屓目に考えてもやっぱりそれだけじゃないです。マッドマックスって基本的に荒野が舞台ですので、『ダブルドラゴン』を説明するには限界がある話ですよね。
じゃあ他になにがあるんだよって話ですが、『ダブルドラゴン』の世界観はヴァイオレンス映画の『ウォリアーズ』(79年)を明らかにベースにしています。『ウォリアーズ』をはじめ『ワンダラーズ』(79年)や『ストリートオブファイヤー』(84年)などの不良抗争もの映画がかなりの下敷きになっているんじゃないでしょうか。『ダブルドラゴン』にはモロにブラックウォリヤーズという名前も出てきますよね。
『ファイナルファイト』を筆頭に『ビジランテ』『タフターフ』『ギャングウォーズ』『クライムファイターズ』なんかはみんなこの辺の映画のイイ匂いがするベルトスクロール型アクションゲーム(以下ベルスク)ですよね。地下鉄の落書きに象徴される、70年代半ばくらいから80年代初頭の荒れたニューヨークが舞台です。この舞台を初めて本格的にゲームに取り入れたのが『ダブルドラゴン』だったんですね。
『ワンダラーズ』にはアボボっぽいのも出てきますし『ストリートオブ~』の主人公はナイフを器用に操るコーディさんですし、ネクタイこそしてないけれど『タフターフ』の主人公キャラの格好に似てます。後年作品の『コンバットライブス』は臆面もなく『ウォリアーズ』してます。そんな中『ダブルドラゴン』が一際輝くわけは、これら映画のベースに付け加えられた超B級のエッセンスです。一言で言っちゃうと、
ダブルドラゴンは・・・
ガチでケンカが強いブルース・リーかぶれのアメリカ兄ちゃんが、ケンシロウのコスプレをしてニューヨークの不良軍団をボコボコにしていく話
なんです。こんなの面白いに決まってるじゃないですか! 『ダブルドラゴン』は脚本がハイ・コンセプトなんです。
まずAC版のビリーとジミーのデザインは腕に包帯、上下同色の服、インナーにピタピタのシャツ、そしてロングブーツ。これ、肩パットがないだけで完全にケンシロウです。腕に包帯がポイントで、この点で『マッドマックス』のメルギブソンではないことがおわかりいただけるのではないでしょうか。ケンシロウコスです。ビリーとジミーはケンシロウが大好きなんですね。ちなみに岸本さんもブルース・リーについては公言されてました。
FC版では容量制限からなのか、腕の包帯とピタピタシャツがなくなって『ウォリアーズ』の恰好になっているのも面白いところです。
ビリーとジミーが使う拳法は「双截拳(そうせつけん)」といいます。ブルース・リーの創始した拳法、というか思想体系のことを「截拳道(ジークンドー)」といいます。ブルース・リーはヌンチャクの達人です。『ダブルドラゴン3』や『リターンオブ~』ではビリー達もヌンチャクを使います。ビリーとジミーはブルース・リーが大好きなんですね。名前が同じリーなので影響を受けて当然だと言えば当然です。
ゲームOPでぐわぐわぐわ♪っと開くガレージの中。双子のアメリカ兄弟がブルース・リーやケンシロウを目指してトレーニングしている姿を想像すると、なんとなくけなげで胸が熱くなります。
二人の「双截拳(そうせつけん)」がカンフーというよりゴロマキ殺法って感じなのは見よう見まねで考えたからなのか! と、これに気付くと大変です。ぐっとビリーとジミーが好きになってきます。
94年に制作された映画『ダブルドラゴン』もこのコンセプトで、ただただ圧倒的強さで不良をボコボコにしながら、マリアンを助けに行くという、リーアム・ニーソンの『96時間』みたいな映画にしてたら面白かったのでは、と思いますが、それはおそらく無理なんです。なぜならFC版『ダブルドラゴン2』が発売された89年くらいが暴力で暴力を制することがカッコよく見えるギリギリの時代だった、ように思えるからです。この辺のつっこんだ理由は映画評論とかその辺の本をご覧ください。僕のはなんとなくの肌感覚です。
良くも悪くも昨今の世の中では「鉄拳で復讐」なんて脚本は通りそうもありません。
まとめてみると『ダブルドラゴン』は、70年代半ばから80年代初頭の、経済成長から取り残されつつあるニューヨークの若者たち、社会からはみだしてしまったブロンクスの若者たちの「もめごと」に、これとは別の意味ではみだしているオタク兄弟が巻き込まれて、日ごろ鍛えたゴロマキ殺法を披露するという、異種はみ出しもの対決を表現したゲーム、と言えると思います。
しかも彼女がさらわれた本当の理由は「いい車を持っていたから」に決まっています。やっかみです。「車か女かどっちかよこせー!きぃーっ!」です。
ちなみに、FC版『ダブルドラゴン2』では、後半のステージやブルノフ、最終ボスのデザインやマリアンに死兆星が落ちている点なども含め、世界観も『北斗の拳』寄りになっています。
FC版『ダブルドラゴン2』のオモシロさはリーサルパターンの豊富さにある。
FC版『ダブルドラゴン2』が他のベルスクと一線を画す大きな理由の一つ。それは「敵をやっつけるパターンがたくさんある」ことにあります。本記事にも書いたんですけど、やっぱり龍尾嵐風脚、天殺龍神拳、爆魔龍神脚の三つの技が素晴らしいアイディアなんです。まず、この三つの必殺技が如何にモノスゴイかをご紹介します。
◆入力のポイントが行動の途中にあるところ!
最初のモノスゴポイントはコマンドの入力を三つの技共に行動の途中にしなければいけないことなんです。思い出してください。
先ず龍尾嵐風脚はジャンプの途中、頂点に達する手前くらいにボタン押しで発動です。このことでミスる緊張感と成功したときの達成感がいきなり生まれます。更に、わざとスカして飛び蹴りをして玄人ぶったり、キャラ両側に当たり判定が発生することを利用して、両側から攻めてくる敵キャラを冷静に垂直飛びからの嵐風脚で一掃する、などのドラマ的演出も可能になります。これがボタン同時押しで発動とか、必殺ボタンだけで発動だったらどうでしょうか。技に広がりがなくなりますよね。
次に天殺龍神拳と爆魔龍神脚は、自キャラの起き上がり時やジャンプ着地後のしゃがみモーション時のみ入力受付(目押し的にはしゃがむ瞬間)という、非常にシビアなタイミングのみに発動です。これが神システムなんです。しかも、天殺はパンチボタン連打で簡単に出ちゃうところがまた素晴らしい! このことで爆魔が出せる魅せプレイヤーと、天殺に甘えるエンジョイプレイヤーとが生まれます。更に、本記事でも紹介した爆魔の着地しゃがみを利用しての連続爆魔歩きや、自キャラが倒された後の起き上がり爆魔とかができるようになると心には龍が飛び回ります。
もちろん、嵐風脚後の着地に天殺or爆魔や爆魔後の天殺、自キャラが倒された後の起き上がり天殺も可能です。以上のように、この三つの必殺技があるおかげでリーサルパターンが無数に増えているのがおわかりいただけたかと思います。これは全て入力のポイントが行動の途中にあるところから生まれている楽しさなんです。
通常攻撃も豊富で、アッパーで決める、後ろ蹴りで刺す、背負いで投げる、アッパーキックで蹴り上げる、飛び蹴りで刺すなど具沢山です。それと地味ですがめくりができることと、起き上がりで左右が選べることも重要です。厳密には格ゲーのめくりとは微妙に違うのですが、イメージするにはめくりがわかりやすいかしらって感じです。
つまり、右にジャンプしてすぐ振り向いて左に飛び蹴り(逆も然り)、右向きに倒れて左向きに起き上がり天殺or爆魔(逆然り)とかができるんです。これでどんどんリーサルパターンが増えていきますよね。
以上のことから『ダブルドラゴン2』では敵と対峙した際に思考の選択が生まれて「いかにコンボ始動のコパンをノーダメで当てるかだけを考える作業ゲー」からの脱却ができまくっちゃってます。
そして、これが大事なんですけど、このシステムが『ダブルドラゴン2』の美学的終着点に見事に着地するためのゲームシステム的伏線として完璧に成功しちゃってるのでグウの音も出ません。ポイントはドラマ的演出が可能になっていること、なんです。(「的」ばっかりでごめんなさい。便利なんです)
◆抜群に爽快感と必殺技感を生むヒット時の効果音
次のモノスゴポイントは効果音です。実はFC版『ダブルドラゴン』も僕が考える白眉はAボタンパンチの効果音なんです。パンチのヒット音がジュッ!ジュッ!ジュッ! と、なんか水の入ったバケツに手持ち花火をつっこんだ時のような音がするんです。しかも結構音が大きい。なんでこんな音にしたんだろう? と。子供心に超謎だったのですが、今もってかなり謎です。ですけどこのパンチ、インパクトだけはむさくさあるんですね。この「音がでかい」という部分が2で更に進化してます。
びおっ!しょわしょわしょわしょわっ!
びおっ!しょわしょわしょわしょわっ!
びおっ!しょわビャアァーオンン!!
びおっ!・・・。
びおっ!・・ビャアァーオンン!!
きゅぴらしゅーんっ!
きゅぴらしゅーんっ!
きゅズビャアァーオンン!!
なんのこっちゃ! と思われたかもしれませんが、三大必殺技のヒット音イメージでございます。でっかい音です。この必殺技のヒット音が格別の爽快感を生んでいます。それに三つの必殺技のいずれを当てても気持ちよく敵キャラが吹っ飛ぶのでたまりません。身体の芯がゾクっとうずくような快感があり、クセになるレベルです。
ベルスクに限った話ではないのですが、アクションゲームにとって重要なのは「重力」「効果音」「モーション」の三つだと僕は考えているんですけど、FC版『ダブルドラゴン』と 『ダブルドラゴン2』はこの三つのバランスが絶妙だなって、こっち勝手に感動してます。
先ず「重力」はキャラの重さです。これが軽すぎるとなんかペラペラで本当につまらなく感じるんです。面白いのは「重力」を感じる要素は「効果音」と「モーション」によるところが大きいということです。相互補完の関係にあるんです。
次に「効果音」、これが小さすぎたり、迫力がなかったり、リアルじゃないというか漫画的に的外れというか、スッカスカだと「モーション」がよくて「重力」が適度にあっても全然しびれない。ちなみにSFCのベルスクは『ファイナルファイト』の第一作目以外、迫力がないものが多い気がします。FC版『ダブルドラゴン』のパンチは少ししょぼいモーションに派手なヒット音をつけることで補完に成功しちゃっているんですね。
そして「モーション」ですが、これ当たり前なんですけど本当に肝心なんです。ここが面白かったり、かっこいいと、プレイヤーの心は魅了されます。フレームの枚数と再生速度の問題だと思うのですが、特に僕が好きなのは人形のように小さなキャラクターが妙にリアルな動きをしているときでして、脳内で快楽を感じる神経伝達物質がぶわっとでるのがわかります。ちなみにFC版『ダブルドラゴン』の旋風脚はFCアクションゲーム史上もっともカッコいいキャラモーションだと僕は思っています。
まとめますと「重力」「効果音」「モーション」のバランスでアニメーション的錯覚をしっかりプレイヤーに起こしてくれるかどうかが重要で、その要素がほどよくマッチして、必殺技感といいますか、決め技感が見事に結晶しているのが『ダブルドラゴン2』の三大必殺技なんです。
ずっと見ていられるくらいカッコいい。
◆かっこよすぎる技名!
最後のモノスゴポイントは技の名前です。先ず、本作FC版『ダブルドラゴン2』の説明書を見てみますと「必殺技説明」というページがあったので以下に少し引用してみます。
必殺技説明
君だけに、必殺のパワーを秘めた双截拳奥義を教えよう!
この技をマスターすれば一段と強くなれること間違いなしだ!
とありました。名文です。正直に言ってこの一文を読んだだけでなぜか僕は泣きそうになります。「必殺のパワー」という部分になぜこんなにも郷愁を覚えるのか・・・・
小学校から帰って、ランドセルから解放された後の夕暮れの居間、兄弟もお父さんもまだ帰ってきていない時間帯、台所からはお母さんが夕飯の支度をする音が聞こえてきます。もう何度も何度も見ているのにまた見てしまう説明書。宿題をやらなければいけないのに、開いたジャポニカノートの上でまた大好きなゲームの説明書を見てしまう・・・
すいません。話を戻しますと「奥義」と書かれていることがポイントです。奥義は漢字の連なりでなくてはならないのです。そのように僕は『週刊少年ジャンプ』で勉強しました。思い出してください。ビリーとジミーはケンシロウが大好きなんです。
★龍尾嵐風脚 りゅうびらんぷうきゃく
超カッコいい名前です。かっこいいんですけど。龍の尾っぽと書いて、リュウビという単語も聞いたことありそうで、実はありません。リュウビといったらゲントクが一般的ですよね。嵐と風を続けて書いて、ランプウと読む、こんな言葉『広辞苑』にも載ってません。
龍尾嵐風脚 龍の尾っぽが嵐と風とで・・・ってイメージしにくいですよね。
なぜ、こんな単語を作ってまで、イメージ困難な名前にしたのか。ここでいよいよカプコンのストリートファイターの名前を出さざるを得ないんです。
わかりやすく発表年の時系列を見てみましょう。
① AC版ダブルドラゴン テクノスジャパン1987年6月~稼働
② AC版ストリートファイター カプコン1987年8月30日~稼働
③ FC版ダブルドラゴン テクノスジャパン1988年4月8日発売
④ AC版ダブルドラゴン2 テクノスジャパン1989年~稼働
⑤ AC版ファイナルファイト カプコン1989年12月14日~稼働
⑥ FC版ダブルドラゴン2 テクノスジャパン1989年12月22日発売
⑦ SFC版ファイナルファイト カプコン1990年12月14日発売
⑧ AC版ストリートファイター2 カプコン1991年3月~稼働
こうなってます。
先ず、間違いないのはAC版『ファイナルファイト』はゲームシステムから世界観から明白に『ダブルドラゴン』に感動した製作者が関わっています。これを否定されたら話が進まないのですが、僕はこういった一つの感動が新たな創作につながって文化が形成されていく様に、三次的に感動しちゃいます。こういった感動のリレーみたいなものはおそらく人間固有の能力なので大好きなんです。
続きまして、更にこれを見てください。
① AC版ダブルドラゴン ソバット
② AC版ストリートファイター 竜巻旋風脚
⑤ AC版ファイナルファイト メガクラッシュ(ぱっと見 ④の旋風脚)
⑥ FC版ダブルドラゴン2 龍尾嵐風脚(ぱっと見 メガクラッシュ)
げんえいをやぶらなければ おまえらに かちめはないぞ。
⑦ SFC版ファイナルファイト メガクラッシュ(ぱっと見 龍尾嵐風脚)
⑧ AC版ストリートファイター2 竜巻旋風脚
しょうりゅうけん を やぶらぬかぎり おまえに かちめはない!!
何が言いたいかといいますと「テクノスジャパンとカプコンで感動のリレーをしている」ということなんです。そりゃベルスクのパイオニアは『ダブルドラゴン』ですから、うわっ!竜巻旋風脚ってかっこええ! ってなっても「龍尾旋風脚」とはできなかったんでしょう。んで、嵐と風でランプウなんてへんてこな単語を作ってまで竜巻旋風を避けて、龍尾嵐風脚になったんだと、僕なんかは膝を叩いて勝手に喜んでるわけです。
ちなみにですが、FC版『ダブルドラゴン2』ではAC版『ストリートファイター2』の爆発的ヒットより以前に、リー兄弟の影のようなボスキャラ、ニセプレイヤーに波動拳を撃たせています。
★天殺龍神拳 てんさつりゅうじんけん
やたらカッコいい名前です。読んで字の如く「天をも殺す龍神の拳」です。かっこいいけどこれ、よくよく考えると恐ろしいですよね。天を殺すってめさくさバチ当たりな気がしませんか? 天って、神さまのイメージですよね。神様に拳で挑んで殺しちゃうほどの技です。確実に悪魔の所業です。
英語圏ではハイパーアッパーという呼び名らしいのですが、それだと全然意味が変わっちゃうじゃないかよ! と、ツッコみたくなりますよね。ハイパーアッパーだと「すんごいアゴなぐり」程度なんですけど、こちとら天殺龍神拳ですから、奥義天殺龍神拳ですからね。「天をも殺す龍神の拳」ですよ。この落差は何なんだって気がします。
「すんごいアゴ殴り」 Hyper Upper
「天をも殺す龍神の拳」 Dragon god fist that kills heaven
ここでまたまたカプコンのストリートファイターの名前を出さざるを得ないんです。
すんごいアゴ殴りをする必殺技といえば、ハッキリ言って「昇竜拳」が世界で一番有名な技だと思います。この昇竜拳、英語圏ではドラゴンアッパーという呼び名だったんです(現在はショウリュウケンでも通じるらしいです)。お気付きだと思いますが、天殺龍神拳の英訳として、こっちの方が適当ですよね。しかし、英語圏で天殺龍神拳をドラゴンアッパーとしてしまったら、どうでしょうか?
「Oh!ドラゴンアッパー!ストリートファイターとオナジネームネ~!ッテコトハ、コレ、ショウリュウケンやんけ~!」
と、なってしまいます。
そうなんです。ここでもビリーとジミーはリュウとケンを意識して「ドラゴンアッパー」の名前を避けています。わざわざ技イメージの弱体化を受け入れてまで「ハイパーアッパー」にするという、気の使い方が仲のいい友達に対する小さな遠慮みたいで好感が持てます。「お前がハンバーグ喰うなら、俺は生姜焼きにするわ」程度のやつです。
ところが後年、昇竜拳サイドからこの天殺龍神拳に対するアンサー的な設定が後付けされるんです。
昇竜拳のバックストーリーをみなさんご存じでしょうか? ストリートファイターシリーズの代名詞とも言える必殺技の「昇竜拳」。この技、2008年~稼働した「ストリートファイター4」(以下スト4)から、設定にとある変化が加えられています。
スト4にはリュウとケンの師匠とされるいかにも破戒僧って感じの剛拳というじいさんが出てきます。驚くことにこの剛拳さんは昇竜拳を禁じ手として、常時はむやみに打たないようにしていらっしゃるのです。
その理由なのですが・・・
「拳を突き上げる動作は天(神仏)に対して拳を向ける」
”リュウ(ストリートファイター)”出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
と、されているんです。そうなんです! 「こんなバチ当たりな技、ばんばんつかったらアカン!」ってことなんです。
この設定って、バチ当たりな奥義名「天殺龍神拳」が意味するところと似てますよね。これ、カプコン側がどれほど意識したのかはわかりませんが、『ダブルドラゴン2』の天殺龍神拳が持つ意味合いを『ストリートファイター』の昇竜拳に取り込んでアーカイブした、と言えないでしょうか。リュウとケン、ビリーとジミー、四人の時空を超えた友情の結晶です。こっち勝手に感動しまくってます。
★爆魔龍神脚 ばくまりゅうじんきゃく
もはやカッコいいのかどうか以前に語感がやたら重たい。「爆魔」って何だろうと、考える前に名前の頭に濁点ってところが重たいですよね。だけど、この語感の重さがこの技のイメージと妙にあっているので『ダブルドラゴン2』というゲームの奇跡を感じざるを得ません。
先ずは「爆魔」ですが、これを考えるために辞書で「爆」という漢字を調べてみましょう。
『爆』バク ハク・ホウ はぜる・さける
1. はぜる。はじける。破裂する。さける。「爆発」「爆破」
2. 「爆撃」「爆弾」の略。「空爆」「原爆」
出典『角川新字源 改訂新版』
とありました。1の方ですが、確かにこの技を敵に当てるとはじけるように、破裂するように吹っ飛んでいますよね。イメージピッタリです。んで2.爆撃や爆弾の略ですが、この技の場合「爆発」の方が効果音と相まってイメージにしっくりくると思いませんか。僕は思います。
ですので、爆魔龍神脚を字面で解釈すると「悪魔を爆発させる龍神の脚」というところでしょうか。他にも「爆弾魔と呼ばれた龍神の脚」や「龍神の脚が悪魔を爆撃」などはいかがでしょう。
殺すだの、爆発させるだのと、双截拳はまったく物騒です。ビリーとジミーはこの拳法で何を目指しているのでしょうか、少し心配になります。親なら怒ると思います。
次に、爆魔龍神脚の技内容について触れておきたいと思います。この技は『ダブルドラゴン2』における最強の技です。ビリーとジミーの最強の技です。双截拳最強の奥義です。
それがなぜ、ただの飛びヒザゲリなのか・・・
なぜ、拳法の最強奥義がただの飛びヒザゲリになっちゃったのか・・・
理解に苦しみますよね。大丈夫です。実はこれ、ちゃんと理解できるんです。というか、ちゃんと考えてみました。
大阪の万国博覧会に象徴される高度経済成長の1970年代日本。子供たちはローラースルーGOGOとかスーパーカーに夢中になって、映画ではブルース・リーやゴジラを観て熱狂する傍ら、とある原作者の作品に夢中になっていました。いや、なっていたはずです。その原作者とは、梶原一騎先生です。
『あしたのジョー』『巨人の星』『愛と誠』『空手バカ一代』『タイガーマスク』と、70年代の子供たちのハートをがっちりキャッチしていた根性賛歌の梶原作品。その作品群を並べていくと恐ろしいほど影響力のある作品ぞろいです。僕自身、あしたのジョーと巨人の星が同じ原作者だと知ったとき、衝撃を受けたことをよく覚えています。
これら誰もが一度は通る作品群の影で、アニメ化もしているのに忘れられていることが多い作品があります。ずばり『キックの鬼』です。居酒屋なんかでジョーや左門豊作の話は出ても沢村忠の話はそうそう出てきません。(左門の話もほぼ出ないけどね)
『キックの鬼』のあらすじを説明します。
実在する沢村忠さんという空手家がキックボクサーになって活躍する話
以上です。重要なのはこの沢村忠さんの必殺技が『真空飛びヒザゲリ』だった、ということなんです。これ、僕も懐かしの~系のテレビ番組とかで実際の試合映像を観たことあるんですけど、マジにかっこいいです。子供が熱狂するのもわかります。
この70年代のヒーローの必殺技を、80年代生まれの僕も知っていたという点に主張の根拠を持っていきます。なので若干弱いです。ですが「爆魔龍神脚」が飛びヒザゲリになる以前に「70年代の子供たちのヒーロー、沢村忠の必殺技が飛びヒザゲリだった」という事実があることは無視できないと思います。これによって、飛びヒザゲリが必殺技になってもさしておかしくはならない知識の下地ができると僕は思うんですね。難しい言葉で武装するなら人口に膾炙されていた、というところでしょうか。
次です。ここまでは前提です。なんならこっちの方が確たる理由じゃないか、と実は思っているのですが。もったいぶってすいません。
ここでついに、我らが英雄ジャッキー・チェンの登場です。
横浜の博覧会に象徴される(象徴されるのか?)バブル景気の1980年代日本。子供たちはファミコンとかヨーヨーに夢中になって、漫画ではドラゴンボールや北斗の拳を観て熱狂する傍ら、とある英雄の映画に夢中になっていました。いや、確実になっていました。その英雄とはジャッキー・チュンです。「ばんこくびっくり掌ぉぉぉ!」
すいません、 チェンです。ジャッキー・チェンです。
言わずと知れたカンフー映画の大家ジャッキー・チェン。80年代半ばくらいのテレビでは、毎週のようにジャッキー映画がやっていました。なんならジャッキー映画と『特攻野郎Aチーム』しかやってなかったんじゃね? レベルです。お! 今日はジャッキー映画きた! と思って観ていたら『ミスター・ブー』だったこともしばしばあったんですけどね。
そんなジャッキー映画にはある種のお約束のようなシーンがいくつかあり、それらを経た後に、物語は美学的終着点に着地します。特に初期のジャッキー映画は物語が非常にわかりやすくて、それが子供にウケた理由の一つになっていたんだと思います。
1・ジャッキー扮する主人公・だいたい自信家でチャラい性格設定。映画中盤でボコられて凹む。
1・大衆食堂でテーブルいっぱいの料理を喰う。
1・カンフーが使える美人が出てくる。
1・大勢とケンカする。
1・ケンカのどさくさでニワトリが逃げ回る。
1・もたれのないベンチみたいな木の椅子でたたかう。
1・硬いものを殴って痛がる。
1・より目になってピヨる。
1・父親に怒られる。
1・一年発起して、修行して強くなる。
これら、いつものシーンみたいなもんを経て、最終的に必ずと言っていいほどラスボスとのバトルが用意されていました。このラスボス戦にも定型化していた要素がいくつかあるのですが、ゲーム的に重要なのは以下の二つです。
① 戦いがノッてきたところで、メインテーマやBGMがかかる。
② 決めの一撃がスローになる。
①に触れると長くなるので一先ず置いておいて、ここでは「爆魔龍神脚」が問題なので②に触れます。そうなんです。ジャッキー映画における決めの一撃は、助走をつけての飛び蹴りなどで派手に決まる(驚くほどしょうもないやつもあります)のですが、ここが物語の美学的終着点となっていて、わかりやすくスローになるんです。「この一撃で万事解決、一件落着しましたよ」と観ている側に半ば強引に伝わります。(なので、この後に少し映画が続いても、予定調和になりがち)
そして、84年に公開されたジャッキー映画作品で、映画史に刻まれることになる伝説のラスボス戦が繰り広げられます。
それが『スパルタンX』のベニー・ユキーデ戦です。
僕なんかが語るのもおこがましいんですけど、スゴイんです。このバトル。
何がスゴイかと言いますと、先ず映画なのにリアルなんですね。マジ殴りです。マジにやっちゃってます。これは相手役のベニー・ユキーデさんが本物のキックボクサーだったことに起因しているそうで、俳優ジャッキーとしても相手が格闘家だからリアリティを追求できたそうです。
このバトルでの最大の白眉は、緊迫したラスボス戦なのにジャッキーが楽しそうに戦うことなんです。楽しそうに戦うジャッキーから繰り出される、見てて楽しいモーションの数々が超カッコいい(バックステップしてからの後ろ回し蹴りは必見)。 正直、この戦いに感動した人たちがゲーム業界や漫画業界に居たために創られた作品やキャラクターは数えきれないと思います。
ここまで来たら、もう御察しですよね。そうです! この戦いにおける決めの一撃が「飛びヒザゲリ」なんです。ていうか、ジャッキーが「爆魔龍神脚」を出して決めてます。
70年代子供たちのヒーロー沢村忠の「真空飛びヒザゲリ」
80年代子供たちの英雄ジャッキーの「スパルタンXにおける飛びヒザゲリ」
これで、ビリーとジミーの双截拳最強の奥義「爆魔龍神脚」が、なぜ飛びヒザゲリになったのか、おわかりいただけたのではないでしょうか。ビリーとジミーはジャッキーも大好きだったんですね。
言及するのが最後になってしまいましたが、この三大奥義の名前を考えたのは関本さんだそうです。ご本人がブログで書かれていました。天才発見です。
なんといっても最終戦、謎の格闘家との闘いは伝説!
『ダブルドラゴン2』の美学的終着点『双龍の雄叫び』
はい。『ダブルドラゴン2』はラスボス戦です。関本さんを始め制作陣も「『ダブルドラゴン2』は謎の格闘家との最終戦を楽しんでもらうゲーム」として、作ったんじゃないかと思うほどなんです。これ、本当に言いすぎとかじゃなくて、そうだとしか考えられないんです。最後にそのお話をします。
では、この伝説のラスボス戦に仕掛けられた魅力の秘密を暴いて、もっと『ダブルドラゴン2』を好きになっちゃいましょう!
★『ダブルドラゴン2』のゲームシステムはラスボス戦を演出するためにある!!
先ほど『ダブルドラゴン2』の魅力について「三大必殺技の入力のポイントが行動の途中にある」ということをお話ししました。加えて、このことから敵との戦い方・倒し方に多様性が生まれて「あえて転ばされてからの起き上がり爆魔」「敵が飛んできたところを嵐風脚でカウンター」といったドラマ的演出が可能になるということもお話ししました。
つまり「ドラマ的演出が可能なゲームシステム」によって、ラスボス戦をプレイヤーが演出できるようになっている、ということなんです。これって、本当にすごいことで、通常のアクションゲームやシューティングゲームはただただ順に出てくる敵キャラクターを受動的に処理していくものなので、言ってしまえばプレイヤーの自由意志が介入する要素があまりないんです。遊びがない。せいぜい自滅するとか、ノーダメを狙うことに集中するくらいですよね。
『ダブルドラゴン2』ラスボス戦の魅力の秘密。一つ目は、「どうやって倒してやろうか」「どんな風に戦ったろうか」と、プレイヤーの意思が介入して、没入感と俺こそビリー・リー感がマックスになっちゃうところ、と断言します。フォローミー!
★『ダブルドラゴン2』の全BGMは『双龍の雄叫び』で完結する交響曲だ!!
少し引っかかるので最初にお話ししておきたいんですけど。謎の格闘家戦の曲が『双龍の雄叫び』というタイトルだったということを僕はずっと知りませんでした。今回の記事でダブルドラゴンをやろうと思って初めて知ったんです。かっちょいい名前ですよね。
だけど子供のころは僕を含め、僕の周りの友だちもみんな『最後の敵の曲』って呼んでいたんです。何が言いたいかというと、僕らの認識では『謎の格闘家のテーマ』だと思っていたんですね。今回、調べてみて「あ、リー兄弟サイドの曲だったのね」とぶっちゃけ驚きました。だもんで、曲自体に人気が出たから便宜的に後付けしちゃいました感を僕は感じまくってます。そこだけは指摘しつつ、そのくせ便利なので僕も『双龍の雄叫び』と呼んでいきます。(心の中では『燃えよ!蟷螂拳』だと思いつつ)
さて、みなさんもダブルドラゴンの音楽といえば、メインタイトルの曲と1のステージ1の曲と、この『双竜の雄叫び』が脳内再生回数トップ3だと思います。僕も同じです。そこで、改めて『ダブルドラゴン2』の音楽を某巨大動画サイトで拝聴いたしました。すると面白いことに気づいて、よりラスボス戦が好きになりました。
こちらをご覧ください。
1.タイトルの曲
イントロ4小節×2+ブレイク1小節 Aメロ8小節×2 Bメロ8小節 以降ループ
2.ステージ前のアメコミ風ドラマのところ
テーマ2小節 以降ループ
3.ステージ1
イントロ4小節+Aメロ12小節×2 Bメロ8小節 以降ループ
4.ボスの曲
Aメロ8小節×2 Bメロ4小節 以降ループ
5.ステージクリア
曲っていうかラジオのジングルみたいなもの
6.ステージ2 ビルからヘリ
Aメロ8小節×2+変拍子ブレイク Bメロ12小節
7.ステージ3 ヘリの中
変拍子の短いテーマのループ
8. ステージ4 リンダと海
Aメロ4小節+A'メロ4小節 以降ループ
9.ステージ5 森と川と
Aメロ8小節 Bメロ12小節 以降ループ
10.蒸気機械
Aメロ4小節+A'メロ4小節 以降ループ
11.ステージ6 罠だらけアジト
変拍子の短いテーマのループ
12.ステージ7 歯車と消える床
Aメロ8小節 Bメロ4小節 以降ループ
13.ステージ8 波動拳と影
イントロ4小節 Aメロ8小節 Bメロ8小節 以降ループ
14.影のリー兄弟戦
Aメロ8小節 以降ループ
15.ラスボス戦・序
2小節のループにSEのループ
16.『双竜の雄叫び』
イントロ8小節 Aメロ8小節×2 Bメロ4小節×2 アウトロ8小節 以降ループ
ここまでです。エンディング曲は割愛です。これを見て、なんのこっちゃ! とイラつかれたかと思いますが、聞いてください。
このゲーム、全部の曲構成に注意してよくよく聴いてみると、メインタイトルと『双竜の雄叫び』 以外は明白にシンプルに作ってあるんです。もっとわかりやすく言いますと、メロディーらしいメロディーを入れないようにあくまでもbgmとして作ってあるんですね。
このことでラスボス戦が開始されて『双竜の雄叫び』がかかると急に歌モノ感全開のキャッチーなメロディーがバーンと入ってくるので感動しちゃう構造になってるんです。これ、お世辞でもなんでもなくて、ベートーベンの歓喜の歌と同じ手法ですよ。
見事だなと感じるのは、ニセプレイヤー戦から極端に音楽をシンプルでダークな短いループ曲にすることで、確実にタメを作っているところです。
しかも、驚くのは聴覚だけでなく、視覚的にも影のリー兄弟戦から色を抜いていって暗転させて『双竜の雄叫び』がかかる瞬間にパーッと極彩色の祭壇みたいな戦場を見せるっていう演出。もうこれね。パーフェクトですよ。
ちなみに、ラスボス戦をメインタイトルの曲にしないで全く新しい曲として作ってほしいと山根さんに発注したのは関本さんだそうです。双龍とはこの二人のことだったんですね。
以上が『ダブルドラゴン2』ラスボス戦の魅力の秘密。二つ目でした。ついてきてー!
★『双龍の雄叫び』を聴くと感情が揺れるのにはワケがある!
『ダブルドラゴン2』のラスボス戦が何故こんなにも僕らの心の中に残っているのかというと、やっぱり『燃えよ!蟷螂拳』、じゃなくって『双竜の雄叫び』がカッコいいからってことになっちゃいますよね。
『ダブルドラゴン2』徒然話の最後は『双竜の雄叫び』について、ちゃんと考えてみました。すいません、半分以上は偏愛からくる妄想です。山根さんに怒られるのを覚悟していきます。
この『双竜の雄叫び』。何度聴いてもカッコいいですよね。改めて真剣に聴いてみると、なんだか胸にこみあげてくるものがありました。と、同時に・・・
この曲のメロディー、なんか懐かしい感じがする。なんでだろ・・?
しかも、この曲ってハードロックっぽいのに、メロディーは日本的な感じがするんです。この辺の謎が胸につっかえたまま、脳内iPodをシャッフルさせまくって一週間以上考えました。そしたら気づくことがあったのでご紹介します。
先ず・・・
『双竜の雄叫び』は戦隊ヒーローモノのメロディーになっている!!
これはですね。聴いてみると非常に面白いので、みなさんも是非に聴いてみてください。特に以下の三曲がアレンジもメロディーも近いものを感じます。
『科学戦隊ダイナマン』のOPの唄
『光戦隊マスクマン』のOPの唄
『太陽戦隊サンバルカン』のOPの唄
どの曲も名曲すぎて、泣いちゃうと思うので、電車内では聴かない方が賢明です。
ここまでついてきてくれているみなさんには必ず伝わると思います。次にですね、またまた『双竜の雄叫び』をしばらく聴いていたら思ったんです。
この曲のイントロを聴くと、なんか血が騒ぐ気がする。なんでだろ・・?
そうです。この曲のイントロ! というかなんならこの曲!
われらが英雄ジャッキーチェンの名画『ポリストーリー』の主題歌『英雄故事』に似とるんです!! ビリー! ジミー! お前らどんだけジャッキーが好きなんだー! そんなお前らが好きじゃー!! と叫んじゃいました(心でね)。
これを意識してジャッキーの『英雄故事』を聴くと笑ってしまうと思うので、電車内では聴かない方が賢明です。
次点で映画『ロッキー』の『アイオブザタイガー』も続いて聴くとクスッとくるのでお勧めです。
こんな曲を最終戦に持ってこられたら、もうたまりませんよね。燃えるはずです。
こんなにもたくさんの仕掛けが施された最終戦をファミコン時代にやってのけてみせてくれたテクノスジャパン、きっとスタッフ達のアイディア出し会議は目をキラキラとさせながら、ジャッキーやストリートファイター、ブルース・リーやウォリアーズと、多種多様な感動を持ち合って、あーだこーだと盛り上がっていたんだと思います。はっきり言ってそんなん超羨ましいです。
以上で『ダブルドラゴン2』が、いかに素晴らしいゲームかおわかりいただけたのではないでしょうか。近年ではアークシステムワークスがテクノスジャパンの意志を受け継いで、まさかの続編『ダブルドラゴン4』も発表されました。思うところも多々あるのですが、概ね良作でした。擁護するのが難しい『ダブルドラゴン3』と、開き直ってキャラモーションが一層ブルース・リー&竜巻旋風脚しちゃってる『リターンオブ〜』も含めて、未プレイの方は遊んでみて下さい。
僕自身はGBAで発表された『ダブルドラゴン アドバンス』が後年作品ではピカイチだと思ってます。
ですが、なによりかにより、やっぱり『ダブルドラゴン2』です。是非是非、ラスボス戦で謎の格闘家への「決めの一撃」をあなた自身が最も感動する方法で演出して、このゲームの美学的終着点に自身の美学と共に着地してください。
FC版『ダブルドラゴン2 ザ・リベンジ』まちがいなく再神作です!
なにがなんでも再プレイしてください!!
おまけ
このゲームに関心の薄い妻もんに『ダブルドラゴン2』をやってもらいました。
ミッション1はそこそこ楽しんでいて・・・
なんか頭掴んでなげると三段活用みたいで楽しい・・・。
という少し「?」な感想を言っていました。
ところがミッション2の忍者にボコられると・・・
こんなヤカラばっかりの世界いやだ!!
ピシャリと根っこから否定されてしまいました。
それでは、また次回お会いしましょう!
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