横スクロール型ランニングアクションゲームの原点‼
決めろ! クラッカージャンプ!!
ナムコのファミコンソフトはハズレなし!ついに『メトロクロス』のファミコン版が登場だぜっ!!
爽快なジャンプアクションを決めて一秒でも早くゴールへ向かって走るんだ~っ! どらららっ!
ジャンボカンにペシャンコにされ、スケボーに乗ってはすってんころりん、めげない男”傷だらけのランナー”は今日も走る!! 特大紹介号炸裂どぅわ~っ!
←近未来的でかっこいいタイトル画面だっ!
タイトル画面はすぐにデモ画面に切り替わる! 先ずはデモを見て予習するのもいいゾっ!!
おっ! 跳んでる跳んでる!!
時計仕掛けの障害物競争!?
”傷だらけのランナー”を待ち受けるコースにはおかしな仕掛けが盛り沢山!! 愉快な逃走劇を楽しもうっ!
やって来ましたジャンボカン! あらよっと!
↓タイムアップが意味するものは・・・!?
『メトロクロス』は言わば障害物競走のタイムアタックなのだ!!
クラッカーやジャンプ台などのギミックを利用して一秒でも早く駆け抜けろっ!!
狙えボーナス! アイテムや仕掛けを利用してゴールを目指そう!!
『メトロクロス』はアイテムの利用が必須だぜっ!!
※点滅に気を付けて下さい
←その他にもパックマンやソルバルウなどの隠れキャラが特定の条件下で登場っ!
各ラウンド毎に決められた制限時間のある『メトロクロス』で競うなら点数が重要だ! ジャンプ台を連続で成功させたり、カンを連続で踏んだりといった条件がそろうとアイテムが出現したり、ボーナスが加算されたりするのだっ!!
ラストシーンは近い!!
続々出てくるおじゃま虫をかわせ!!
ハードル、タイヤ、段ボール、すべる床、ねずみ、将棋の駒にチェスの駒!?
むぎゅう・・・
なんやおまいらは・・・
え? え? えぇぇ~!・・・♡
こんにちは。モジゃもんです。ここからは僕が”メトロクロス”で遊ぶときにやっている攻略法をお教えします。同じゲームで遊んでいるクラスの友だちの話、くらいの距離感で見てくれるとうれしいです。
その1
ジャンプはブレーキなんだと覚えようっ!!
メトロクロスはジャンプとブレーキで微調整しながら進むゲームです!
ジャンプして微調整してダァーっしゃ!!
『メトロクロス』のジャンプは走ることよりスピードが落ちます。ですからむやみやたらに飛ぶのはNGです。また、クラッカージャンプはジャンプ後に微調整しないとほとんど成功しませんよ。
その2
ライン合わせとAボタン連打は必須っ!!
スケボーが出たら問答無用でライン合わせ!転んだら問答無用でAボタン連打!
惜しいですが、これもダメ!
タイヤの位置をよく見て覚えましょう
スケボーライン合わせのコツはブレーキをかけて微調整することです。それと、僕の肌感覚だと各ラウンド2回まではミスしてもAボタン連打復帰でゴールに間に合うので、転んだり穴に落ちた時は連打しましょう。
その3
PAUSEを使って一回冷静になろうっ!!
僕が強くおススメしたいのがPAUSEボタン! ある程度コースを覚えたら、一つ要所を超えた後にPAUSEをかけると一回落ち着けるので結構役に立ちますよ!
以上です。スタジオさーん!!
では、ここからは私、モジゃもんがじっくり考えて決めた懐かしいゲームをたっぷり遊んで評論させていただいて、再び神作となるサイシンサクか、思い出補正だけが拠り所の懐古ゲームかを考える「ゲーム再神作徒然話」です。
今回遊んだのはFC版『メトロクロス』です。1985年の5月にAC版が稼働され、FC版の本作は翌年の1986年12月16日に発売されています。制作は”遊び”をクリエイトするナムコです。2005年の5月にバンダイと経営統合、要するに合併して現在では株式会社バンダイナムコホールディングスとなっています。これ、当時は結構おどろきましたよね。
1994年まで新作ソフトが発売されていた初代ファミコンですが、ナムコは非常に多作で86年のFC版『メトロクロス』の時点でなんと22作品目。この頃のファミコンソフトって任天堂・タイトー・ハドソン・コナミ・ナムコの五社で盛り上げられていた気がします。他のメーカーさんごめんよ。
1986年は『ドラゴンクエスト』が発売された年で、他にも『グラディウス』『魔界村』『がんばれゴエモン!』など人気シリーズの1作目が登場している年です。僕自身もこの年の12月18日に発売された『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』が最初に購入したファミカセでした。なぜそれにしたんだ~っ! まあ面白かったけどね。
僕の『メトロクロス』初プレイは、1987年だと思います。うん。間違いない。だって5つ年上の兄が友人から借りてきたものを一緒に遊んだのが最初ですからね。
ファミカセの貸し借りって全国的に行われていたことだと思うんですけど、大概飽きたソフトと交換する形で貸し借りしていたので、兄が借りてきたのは発売の翌年だったと予想。
んで『メトロクロス』に対する当時の僕の印象は
すげ~難しい
これでした。自分でも驚いたんですけど、数十年の時を経て正真正銘のおっさんになった今、改めてしっかり『メトロクロス』を遊んでみて至った結論と正直あまり変わらなかったです。難しいっていうこととはちょっと違うんですけど、子供の頃だったらそりゃあ難しくて出来ないだろうなーって思いました。
開発企画をされたのは岡本達郎さんです。岡本さんは本作の主人公”傷だらけのランナー”のモデルにもなっていて、元気があればなんでもできそうなアゴが特徴の方です。
我々おっさんゲーマーにとっては本当にうれしいダウンロード配信サービス、アーケードアーカイブスの企画である動画配信の中でご本人が登壇され『メトロクロス』の開発にまつわるお話をされています。興味のある方はご覧になって下さい。まあ全部で4時間以上もある動画なので、いつ誰が全部観るんだろって感じですが(僕は観ちゃったけど)。
第374回 アーケードアーカイバー メトロクロススペシャル!Arcade Archiver # 374 METROCROSS Special!
岡本さんは全く理系出身ではなくパソコンのキーボードも打てなかったのに、ナムコ入社後開発企画課に配属されて、寝耳に水だったと回想されています。当時の開発企画課は理系ではない畑の人間をどんどん入れていたそうで、新しい遊びを生み出そうとするナムコのクリエイティブな姿勢に感銘を受けます。てゆうかこういう会社で働ける人がうらやましいですな。
岡本さんはゲームのことはまるで知らない学生時代だったらしく、当時の一般的な大学生と同様にインベーダーくらいしかやったことがなかったそうです。麻雀ばかりやっていた学生時代の岡本さんはゲームを開発するなんて全く想像もしていなかったと楽しそうに話されていました。ていうか、動画の中で時々飲んでるグラスの中身が酒なのかな? ってくらい楽しそう。昔を語るほろ酔いおじさん感ハンパないっす!
そんな岡本さんが話す『メトロクロス』の開発秘話。入社一年目の岡本さんは会社から「何か新しいものを作ってよ」と斬新な企画書を書くように指令を受けたところ、オリンピックのように正式なスポーツではなく、色々な競技で日本一を決めるようなゲームを企画されました。なんとなく『タントアール』とか『マリオパーティ』のようなゲームを想像するとわかりやすいと思います。
岡本さん曰く「当時のテレビ番組には日本一を決めるような企画がたくさんあった」そんなテレビ番組からインスパイアされて企画していったとのことでした。特に日本テレビの『びっくり日本新記録』(1975年10月5日~1985年10月6日)から影響を受けたらしく、動画の中で見せてくれる実物らしい当時の企画書にもしっかり”びっくり日本新記録”とメモ書きされています。
ってかありましたよね。こういうテレビ番組。僕が覚えているのはフジテレビの『ザ・ガマン』。これ本当に現在だったらありえないんですけど。シンプルにどれだけおしっこをガマンできるか! とかいってガンガン飲み物飲んで何時間もトイレに行かないだとか、波打ち際に寝転がってどれだけ長い時間満ち潮に耐えられるか! とか無茶苦茶なやつばかりでした。だけど家族そろってキャーキャー喜んで観てた気がするから怖い怖い。
岡本さんの企画書には旅館のお膳をいくつも重ねてバランスを取りながら運ぶゲームや泥沼を50メートル走ってタイムを競うゲーム。はたまた水上ドラム缶ロデオなどと本当にバラエティ番組の企画のようなゲームが沢山書かれていて、実現していたら面白いパーティゲームになっていただろうなと感じました。
第374回 アーケードアーカイバー メトロクロススペシャル!Arcade Archiver # 374 METROCROSS Special!
ただし、当時のプログラマーサイドから「こんなの一個一個やっていたら大変だ」と言われたそうで、徐々にブラッシュアップして障害物走に特化していったようです。昭和58年12月29日付の企画書では『ファンキーアスリート』というタイトルだったものが昭和59年8月14日付の仕様書で『シティランナー』と変わり、段々と『メトロクロス』に近づいていることがわかります。
開発期間は一年半程度とのことですし、各書類に記された日付がお盆休みや年末であることから、岡本さんをはじめ当時の制作陣があまり休まずに頑張っていたことが窺えます。ゲーム開発の現場を知らない僕なんかはクリエイティブな職業の人たちがアイディアを出し合っている仕事場にめちゃくちゃ憧れるんですよね。いーなー。
さてさて、こんなところで枕話は切り上げて本題に入りたいと思います。『メトロクロス』は子供の頃からあまり得意ではなく、たまにやると難しくて投げ出していたのですが、ちょこちょこTwitterやYouTubeで『メトロクロス』を見かけるようになり、この際と思って遊んでみました。現在ではスマホアプリの定番ジャンル”ランゲーム”の礎を築いた『メトロクロス』を掘り下げて考えてみましょう! レッツゴー!!
『メトロクロス』はナムコの『スーパーマリオブラザーズ』だった?
ではでは、早速ですが『メトロクロス』のジャンルって皆さんは何だと思われますか? 僕はなんの疑いもなくアクションゲームだと思いますし、思ってました。キャラが飛んだり跳ねたり走ったりするゲーム。それすなわちアクションゲームなり、って感じです。
ところがですね、この『メトロクロス』をレースゲームとして捉えてる方々が一定数いらっしゃるようなんです。ゲームカタログ@wikiで『メトロクロス』の項を見てみても・・・
” 厳密にはアクション要素を含んだ横視点のレースゲームともいうべき作風となっている。”メトロクロス - ゲームカタログ@Wiki ~名作からクソゲーまで~ - atwiki(アットウィキ)
と書かれています。
アクション要素を含んだレースゲームって風呂敷大きすぎないか? っていう疑問と、厳密なのに”作風”っていうなんとも歯切れの悪いふわっとした表現。う~ん納得できない。
試しにTwitterで「メトロクロス レースゲーム」と検索してみると、確かにいるいる『メトロクロス』はレースゲームだ勢が・・・。だけど「メトロクロスはレースゲームじゃないの?」とか「かなり特殊なレースゲーム」とか「若干レースゲーっぽい」とか曖昧なものばかりだし、「レースゲーじゃないよねw」「レースゲー?」なんていう疑問を呈すものも散見されました。
その一方で「メトロクロス アクションゲーム」で検索してみると「アクションゲームです」とか「~のアクションゲーム」っていう断定言い切り型が圧倒的に多い。これはやっぱり『メトロクロス』はアクションゲームなんだという認識の方が優勢なんじゃないでしょうか。ってかさ、車じゃなくて人型キャラが走ってるゲームなんだからアクションゲームだっていう認識でいいじゃん! とか僕は思います。
では何故『メトロクロス』はレースゲームだ勢が一定数存在するのか、又、ぱっと見アクションゲームをレースゲームだと穿った見方をしているのか、っていう謎なんですが、僕が思うに、ほとんどの人は通ぶってるだけだと思います。レースゲームだと言ってる人にロジックはなさそう。
おそらく「トーシロはアクションゲームだと思うのが通常だろうけど、このゲームはレースゲームだっていう見方もできるってどっかで見たし、確かに言われてみればそんな気もするし、その方がよりわかってる感じがして人の上に立った気になれるからレースゲーム」くらいの他人の言説にのっかっただけのペラい言い分だと思います。
その証拠にほとんど断定しないで「え? 俺はレースゲームだって思ってたけど違うの?」みたいな逃げを用意した言い回しで客観性を装ってます。かっこ悪いですよ~!
とまあ、性格悪く分析するのはここまでにして、真面目に考えてみますと、どうやらこれは開発企画をされた岡本達郎さんの経歴に起因したものっぽいですね。もっと言えば岡本さんはナムコに入社して一作目が『メトロクロス』なので、それ以降の作品群による影響だと思いますです、はい。
こちらをご覧ください。
第374回 アーケードアーカイバー メトロクロススペシャル!Arcade Archiver # 374 METROCROSS Special!
ご覧の通り2006・7年の二作品を除いて、ほとんどが乗り物ゲームです。そして93年の『ラッキー&ワイルド』以外の作品はもう完全にレースゲームなんです。
『ラッキー&ワイルド』は視点こそレースゲームの画面ですが、各面クリア型のシューティングゲームです。このゲームを含めて話すとややこしくなるので断言します。『ラッキー&ワイルド』はシューティングゲームです。しかも名作です。僕は大好きでした。
んで、『ファイナルラップ』をはじめとする他の作品なのですが、大きな共通点を挙げてみると・・・
・乗り物を操作する
・時間を競う
・乗り物の後方又はコクピットから見た視点
となっています。ほら! 一個も『メトロクロス』にはない特徴じゃーん! 逆にレースゲームをレースゲームたらしめてる特徴もこの三つなんだと思いますよ!
ついでにWikipediaでは『レースゲーム』がどんな風に説明されているのか見てみますと・・・
レースゲーム(英: racing game)は、出来るだけ指示された目的地に速く到着できるかを競うゲームのジャンルである。すごろくなどのボードゲームやコンピュータゲームのジャンルではプレイヤーキャラクターの乗り物(無人(という設定)含む)を操縦し競走をおこなう。自動車やオートバイを筆頭に、自転車、船舶、飛行機、宇宙船、架空の乗り物などを操縦する。レースゲーム - Wikipediaより引用
はい。これでレースゲームをレースゲームとして胸張って成り立たせるための要素がはっきりしましたよね。それは・・・
乗り物
そうですよね! 乗り物が出てこないのにレースゲームって不自然ですし、違和感あります。たとえ目的地に速く到着することを競うゲームだったとしても、乗り物が出てこないのにレースゲームだよっていうのは頑固なだけだと思います。頑固一徹、星一徹です。例えば・・・
これとか
これも
これだって
レースゲームですか?
なんの説明もなく会話の中でレースゲームとして語りますか?
多分、通ぶっててイヤミな奴だと思われますよ。いやマジで。
もちろんですが「race」って、英単語の「競争」という広い意味で話してるわけではないですよ。ゲーム上のジャンル分けの話だよね。
仮に50歩くらい譲りましょう。確かに『メトロクロス』は目的地というか、ゴールに速く到着することで得られる得点も増えますからね。他のプレイヤーと速くゴールすることを競っていると言えなくもないのでその点でレースゲームですか・・・
じゃあ、これもその意味ではレースゲームってことでいいんですか?
目的地に早く到達することで・・・
得られる点数も増える。
これはなんと! 『メトロクロス』はナムコの『スーパーマリオブラザーズ』だったんか。こいつは驚きだZE!
ってそんなわけあるかーーーーーーっ!!
もう充分ですよね。はい。すいません。こんな風にタイムトライアルだからレースゲームってことにしてしまうと、もうなんでもありになっちゃう。
岡本達郎さんの経歴に話を戻しますと、岡本さんは学生時代からレースが好きで、時々実際にレースを観に行ったりしていたそうです。ナムコに入社した当時からレースゲームを作りたい! という希望を会社に出していたそうなのですが、上記したように「とにかく新しいものを!」という御達しの通り”びっくり日本新記録”のようなゲームを考えるに至ったということだったんです。
岡本さんが『メトロクロス』以降レースゲームばかり企画されるようになったのは、87年の『ファイナルラップ』のヒットを受けて二匹目のどじょうを狙っていたから、と動画の中で名言されています。もちろんレースゲーム自体が好きだったということは前提にした上でのお話でしたので、単なる商業主義ではなかったようです。
ちなみに岡本さんは個人的にもマラソンをされるらしく10キロを40分で走るそうです。これは速い。僕はスポーツジムで10キロを1時間かけて走っていたので、すごいなと思いました。傷はなくともマジもんのランナーだったんですね。
■まとめ
『メトロクロス』はネット上でしばしばレースゲームだと語られることがあります。一目みたところはアクションゲームなのに何故レースゲームとして捉えられているのかを調べてみました。
調べてみると、企画者の岡本達郎さんはレースゲームが好きだと公言されており、『メトロクロス』以降の氏の作品はほとんどがレースゲームだったことから『メトロクロス』もレースゲームとして捉えられる風潮が生まれたのではないか、と考えました。
実のところ、当の『メトロクロス』は本来テレビ番組”びっくり日本新記録”をもとにした斬新なナンセンス競技を狙って企画されたものであり、レースゲームとしては作られていませんでした。
また、『メトロクロス』以降に岡本さんの企画されたレースゲームの特徴は乗り物・時間・視点の三つにあることが確認でき、中でも乗り物を操作するという点がレースゲームの本質であり『メトロクロス』にはないものだとわかりました。
仮に、これに反駁する形で人型キャラが時間を競うゲームも含めて広く捉えようとすると『スーパーマリオブラザーズ』のような典型的なアクションゲームも含まれてしまうことになり、不自然なものになってしまいます。
以上のことから、僕も言い切っちゃいますよ!
『メトロクロス』を企画した岡本達郎さんはレースゲームが好きではあるが『メトロクロス』はレースゲームではなく、アクションゲーム
とは言え、ゲームのジャンル分けなんて複雑な作品になればなるほど音楽のジャンル分けと同様に曖昧なものになるのは当然ですよね。
ここまで意地悪く書いてしまいましたが、ジャンルなんて横断して複合的に作られることで、例えば『ラッキー&ワイルド』や『チェイスH.Q』のような面白い作品が生まれるんだと思います。いや、ここが重要だから言い直すぞ! 生まれるのだ!!
最後に、調べていて気付いたのでどうしても触れておきたいのですが、岡本さんが最初に企画されていた”びっくり日本新記録”のようなナンセンス競技の寄せ集めゲーム。
これ、ありましたよね! 確かに後年にあったんです。しかも調べてみて嬉しくなったのはナムコから出ていたんです。なんだかわかりますか? 多分当時のゲーセンボーイなら一回は遊んだことあるはず! 僕は何度かやったことあります。
そのゲームとは・・・
『ニューマンアスレチックス』です
懐かしいですよね。
このゲームに出てくる競技が・・・
・ミサイル投げ
・砲弾撃墜
・ビル登り
・新幹線押し返し
といった様に、正にナンセンス競技の寄せ集めです。この作品を岡本さんの後輩の方々が制作するにあたって、岡本さんの企画書を参考にしたり、氏からアドバイスを受けたかもしれませんよね。
まあ、岡本さんの企画書っていうかなんていうか完全にこれ・・・
超人オリンピックだけどね
『メトロクロス』はリズムゲームだった! ゲーム音楽の役割から考える面白さの秘密
それではいよいよ『メトロクロス』の中身に入っていきたいと思います。え~とですね。『メトロクロス』を遊ぼうと思って、コントローラーを持って、スタートボタンを押す! ここで飛び込んでくるのやっぱり! 大野木さんのあの曲なんですよね。これに触れずに『メトロクロス』は語れないでしょ。
ってことで、次は『メトロクロス』の音楽について考えてみたいと思います。
とその前にこちらをご覧ください。
第374回 アーケードアーカイバー メトロクロススペシャル!Arcade Archiver # 374 METROCROSS Special!
これ、動画配信の中で紹介された開発メンバーなのですが、僕は驚いてしまいました。あの曲を作曲された大野木宣幸さんは作曲家である以前にプログラマーだったんですね。全く知りませんでした。
そんなことも知らなかった僕が大野木さんの曲の中でも、というかファミコンの音楽の中でも名曲として有名な『メトロクロス』の音楽について語っていいのか、かなり危ういのですが、触れさせてください。
大野木さんはゲーム音楽に音楽らしいBGMを付けた最初の人物とされています。どういうことかと言うと、この頃のゲームって・・・
・ゲームスタートのとき
・ステージ切り替わりのとき
・ゲームオーバーのとき
これらのときくらいにしかメロディーが流れないんですよね。しかもラジオのジングル程度の短いものばかりでプレイ中のBGMは無。キャラが歩くというか動く効果音がビコビコ鳴ってるだけのものがほとんで無。むむむ。
ファミコンソフトだけ見てみても84年11月14日発売の『マッピー』以前のファミコンはゲームプレイ中の音楽がほとんどありません。ちなみに『マッピー』と同じ日に発売されている『アーバンチャンピオン』もプレイ中にめさくさセンスのいいベース音の曲が鳴ってます。地味ですけどゲームの緊張感に貢献してるし、カッコいいです。
調べてみると、『アーバンチャンピオン』以外にも
・84年7月4日発売『ドンキーコング3』
・83年7月15日発売『ポパイ』
・84年11月8日発売『ゼビウス』
この三作品で短いサウンドループのような音楽が確認できました。ご存知『ゼビウス』の近未来のサイレンのようなスクランブル発進を思わせるあのピロピロ音も秀逸ですし、『ポパイ』も『ドンキーコング3』もコミカルな音楽で聴いてて楽しいです。
だけど、ここへいきなり
これのあの曲登場です。
インパクト強いですよね。昔『マッピー』で遊んだことのある人は大体みんな覚えてると思います。これは明白に曲だ! と言い切れる音楽が付いてます。このトンテンカンテン言ってる曲を作曲されたのが大野木さんだったというわけです。
余談ですが、この『マッピー』以降のファミカセでプレイ中の音楽がハッキリ付いたのは何かな~と思って、調べてみたのですが、なんだかわかりますか?
これなんです。
これね、おそらくゲーム画面を見ただけではピンと来ない人が多いのではないでしょうか。このゲーム画面だけですぐタイトルがわかる方はかなりファミコンに詳しい方か偶然にも当時所有されていた方かのどっちかでしょう。あんたはえらい!
ですが、これを見たら急激にピンとくる人の人数が増えるはず!!
実はこのゲーム・・・
これなんです。
あ~
って言っちゃいますよね。そうです。任天堂の『クルクルランド』です。『マッピー』以降のファミコンソフトでプレイ中の音楽が付いてるって言える最初のソフトはこれでした。まあまだ『マッピー』ほどにしっかりとメロディーがあるわけでもないんですけどね。
意外にもこの『クルクルランド』が発売されたのはファミコンソフトとして『マッピー』の次なんです。
84年11月14日
『マッピー』発売
84年11月22日
『クルクルランド』発売
ですから、ファミコン史として考えると、84年の後期くらいからゲームに付随する音が「サウンド」から「ミュージック」に移行していった、と言えそうです。
84年という年は説明不要のミュージシャン細野晴臣さんが4月に『ビデオ・ゲーム・ミュージック』をナムコとの共同制作で完成発売している年です。だもんで、ゲーム業界全体にゲーム音楽に対する意識の変革があったとしてもおかしくはないんですよね。
その後85年に入ると4月に任天堂の『サッカー』、コナミの『イーアルカンフー』『けっきょく南極大冒険』と、こりは音楽や音楽や~ってのが付けられたゲームが頻出するようになってます。そして同年9月に『スーパーマリオブラザーズ』が登場して、ゲーム音楽という世界の確立に至っているって感じです。ワクワクで鼻血でそ。
さあさあ、そんな中ついに『メトロクロス』の登場でございます。メトロクロスはFC版発売以前の85年5月にAC版が発表されているので、そっちで先に『メトロクロス』の音楽が世に出たということになりますね。
『メトロクロス』の音楽はどこで見ても聞いても名曲として語り継がれているゲーム音楽ですよね。いや僕だって異論ないです。ただ名曲っていう言葉があまり好きではなくて・・・ 名曲とか名画とか名作とかっていう言葉に懐疑的。天才・秀才・才能あるなしも好きじゃない。
なんか過剰だし、ちゃんと評価するのがめんどくさいだけな気がするし。これらの言葉を使っちゃうと逆に一定の水準で価値が停滞するような気がしませんか? と書きつつ、日常的に僕も使い倒してるから泣けてきます。勝手ですよね。
気を取り直しまして『メトロクロス』のゲーム音楽の特徴を考えてみたいのですが、とりあえず気づくのはタイトル画面でスタートボタンを押して、ゲームオーバーになるまでにかかる音楽が一応一曲としてまとまっているってことだと思います。意外なことに他のゲームでは見落とされているというか、こういう作り方はされていないことが多いです。大野木さんの凄さってここかもしれません。
どういうことかと言うと
タイトル画面は無音
スタートボタンを押すとプォィって変な効果音が鳴って・・・
ゲームスタートで イントロ
プレイ中は Aメロ・Bメロ・サビ
ラウンドクリアで 間奏
ゲームオーバーで アウトロ
って感じで、繋げて聴くと一つの曲として聴こえるようになっています。これが肝。このことで何が起こるかと言うと、めちゃくちゃゲームのテンポ感がよくなるんです。
僕は『メトロクロス』っていうゲームの評価の分水嶺がここにあると考えているのですが、このゲームはうまくなればなるほどプレイ中のジャンプ音や缶を踏む音がテンポよくパーカッション的に決まって、気持ちよくなってくるんです。マジです。
一周でもクリアしてしまえば実感できると思うのですが、うまくなってからラウンド1・2・3くらいを再びプレイしてみると、初めてプレイしたときに比べてポンポンジャンプが決まるので爽快なんですよね。これです! これが『メトロクロス』のクセになる面白さの秘密DA・YO!
もう今回の結論を先に言ってしまいますけど『メトロクロス』はうまくならないと面白さがわかりにくいゲームなんです(昔のゲームってそんなんばっかだけど)。だもんで、初めのうちはジャンボカンに潰されたり、穴に落ちたりすると、テンポのいい音楽が鳴っているのに視覚的にも聴覚的にもリズム感崩されて
超ストレス
なんですよね。もう遊んでいてストレスがたまるたまる。もう少し難易度調整甘くしてよかったのになんて思います。クラッカージャンプもシビアすぎです。
なので幼い頃の僕みたいに面白さがわかる前に投げ出しちゃうんだと思うんですよね。そこを堪えて何度もプレイしていると次第に上手くなってくるのでゲーム音楽とランナーが一体化してテンポがよくなって、きもちーきもちーきもちE! ってわけなんです。
そういう意味で『メトロクロス』のゲーム音楽は超優秀だよって叫んじゃっていいと思います。ゲーム音楽はゲームの演出に貢献するもの、もっと言えば楽しさを盛り上げるものであるべきだと思うので、それを巧みに成し遂げている『メトロクロス』の音楽は名曲だ、と相成るわけで御座います。
だからね、Twitterとかで気取りたいなら『メトロクロス』はレースゲームなんて言ってないで、リズムゲームだって言うべきだよ。『メトロクロス』はリズムゲームです。
『メトロクロス』の音楽のルーツはフランスにあった!? 大野木さんの造詣の深さに感服!
『メトロクロス』の曲ってなんなんでしょうね。唐突にすいません。めっちゃオシャレでかっこいいですけど、なんとなく哀愁も漂う音楽。これについて少し触れてみたいと思います。
グーグル先生に「メトロクロス 音楽」とかで質問してみると、『メトロクロス』の音楽は
ジャズだよ~
ビッグバンドだよ~
ラグタイムだよ~
カントリーだよ~
昭和歌謡だよ~
って感じで情報が錯綜しております。こういうことはすごくいいことだと思います。いつもゲーム音楽について僕も妄想をひけらかしておりますが、今回も僕の所感を述べさせていただく前にちゃんと言っておきたいと思います。
ある作品のルーツや影響源を掘り下げて考えることは、新しい作品を生み出すために必須の行為です。ほんでもって、既存の作品に感動したり感銘を受けて自分の作品を二次的に作る行為の積み重ねが文化になっていきます。
文化の発展の根源は人間の情操に訴えかける感動にあるといっても過言ではないんですね。これって素敵なことですよ。芸術作品や娯楽作品に限らず、技術や知識だって先人が「これいいよ」って考えたことが受け継がれていくわけですから、人間の生きる意味とか目的にも関わってくることですよ。いやマジで。
だから「元ネタ」とか「パクリ」とか言ってわかった気になって、簡単にポイしちゃうのは超もったいないです。
それでは、カロリー高めの話を真顔でしてみなさんがドン引きしたところで僕の所感を言っちゃいます。
『メトロクロス』の音楽は『マイナースイング』だと思います。
多分、大野木さんは『マイナースイング』っぽいことをやりたかったんだと思う。あんまり音楽的なことを語っても面白くないからほんのちょっとだけ言うと、音楽では音をいくつか重ねたものをコードっていうのですが、この音の重ね方にマイナーとかメジャーとか色々あるんです。え? 知ってた? ごめんなさい。
でね、そのコードの「m6(マイナーシックス)」っていう音の重ね方を多めに使って、ずんちゃ、ずんちゃ、ずんちゃってリズムで演奏すると『マイナースイング』って曲っぽくなる。この「ぽくなる」が音楽にはとても大事なんですけど、その話はまた別のゲームの機会にします。さらっと言うと「ぽくなれば下地はそれで充分」って感じ。
余談ですが、作曲にあたって「9th(ナインス)又はadd9th(アドナインス)」っていうコードを使ったり付け足したりするとポリスの曲っぽくなりすぎて、逆に使いづらかったりします。これは武田性の方が問答無用で「テツヤ」と呼ばれてしまう現象に似ています。罪深き鉄也の存在感よ!
おそらく『マイナースイング』で検索して、いくつか聴いて頂ければ、頷けるものがあると思いますよ。
大野木さんはこのフランス発祥の古い音楽「マヌーシュジャズ」の『マイナースイング』を知っていらして、この雰囲気で『メトロクロス』の曲を作るか~って、なんとなく下地にした感じだと思います。
プログラマーでありながらこのような音楽もご存知だったということが、そもそも驚きですし、一番の凄さは『マイナースイング』を『メトロクロス』に持ってきたことだと思います。いくらなんでも
センス良すぎ!!
メトロクロス最大の謎!? 傷だらけのランナーは一体どこから来てどこへ向かうのか!
それでは最後に『メトロクロス』に関して、僕が一番考えてみたかったことを徒然なるままに掘り下げてみたいと思います。え~とですね、『メトロクロス』を遊んでいますとですね、僕はとあることが気になって気になって仕方がないのですが、皆さんはいかがでしょうかってことなのですが。
それはですね・・・
これどこでなにやってんの!?
ってことなんです。もうそのことを考えているとなんとなく恐くなってくるんです。だって、時間に間に合わないと
電気ビリビリで丸焦げだし・・・
こんな巨大な缶飲んでるの誰よ・・・
いやいや怖い怖い怖い。
しかも、こんな地獄にもかかわらず・・・
ご褒美のチュー
いやわけわからん。
というわけで、真剣に『メトロクロス』の世界観について考えてみたいと思います。先ず、そもそもタイトルの「メトロクロス」っていう名前。これはなんだろうってことなんですけど。
ゲーム上の表記は英語で「METRO‐CROSS」で、メトロとクロスの間にハイフンが入って接頭辞になっています。ってことは、全体で一語として考えるということなので、メトロとクロスで分けて読むものでもないようですね。
とは言え、一応分けて見てみると・・・
METRO 地下・地下鉄
CROSS 十字・越える・過ぎる などなど
と、DeepL先生が教えてくださいました。ふむふむ。地下を越える。地下を過ぎる。地下鉄を十字に・・・
地下を越えて(過ぎて?)自由を手に入れるってのは『メトロクロス』のストーリーとして考えられなくもないような気もします。
だけど、「メトロクロス」って十中八九造語なので、この場合の「メトロ」は”地下鉄”とか”地下”のメトロっていうよりも
メトロポリスのメトロ
でしょうね。これはゲーム画面にその要素がちりばめられています。
この窓の外の景色も
この夕日の沈む街並みも
巨大未来都市メトロポリスの雰囲気ですよね。そもそも窓があるから地下ではないですし。まあ若干『あしたのジョー』の泪橋の向こうに見える風景にも見えるけど。
ほんでもって、「クロス」は”越えて”とか”十字”っていうよりも
クロスカントリーのクロス
ではないでしょうか。スキーの方ではなくて、自動車とかのオフロード走行を意味する方ね。岡本さんはレースが好きな方なので障害物レースっぽいゲームってことでクロスカントリーから引っ張ったんじゃないかとこっち勝手に考えてます。
というところでお願いします・・・。
ところで、いつものように映画からも世界観を探っていくために今回も観ました。『メトロポリス』の映画と言えば手塚治虫さんの原作をりんたろうさんと大友克洋さんが映画にされた2001年の方をすぐに思い浮かべたのですが、これだと『メトロクロス』の登場よりも遥かに後発の作品ですので、あっちの方です。
こっちの方です
SF映画の原点にして最高傑作と言われている1927年のドイツ映画『メトロポリス』でございます。もろサイレント映画です。全編に亘ってクラシック音楽がバックでずーっと、あまりシーンやプロットの起伏に関係なくずーっと優雅にかかっているだけでありました。
ホテルの朝食バイキングの食堂でかかっている音楽のようでありました!
深夜にNHKでやっている歴史ドキュメンタリーのようでありました!
以上です!
ってのは冗談で、この映画に『メトロクロス』要素がないかな~、なんて目線で観たのはもしかして世界で僕が初めてなんじゃないか、とか思いつつですね、しっかり観ました。
なにしろ大好きな大友克洋先生もこの『メトロポリス』を観て、こういう巨大都市を描きたいと『AKIRA』のネオ東京のヒントにしたと公言されているので、前々から興味があったんです(と言いつつ何年も観てなかったZE!)。
ええっとですね、これがややこしいことにこの映画、地下の要素がかなり出てくるので、「え~、メトロクロスのメトロも地下って線あるのかよー」って、ちょっと思っちゃいましたが、多分それは偶然だと思います。
超ざっくりとあらすじを説明すると(それでも長いのでめんどい方は太字だけさらっとで大丈夫です)・・・
どっかにネオ東京型巨大都市がありました。
その巨大都市は地下で24時間交代制で働いている労働者たちに支えられています。巨大都市の地上では富裕層が遊んで暮らしています。
ある日、富裕層側のトップの息子が労働者側のヒロインに恋をします。だもんで、下心も恋心もあるトップの息子は労働者側に絆されて労働者側の仲間になります。
ヒロインは労働者側の女神様みたいな人でめさくさ慕われていて、人々に平和と希望を説いていました。トップの息子はメロメロです。
富裕層側のトップはマッドサイエンティストにこのヒロインそっくりのアンドロイドを作らせます「あの娘慕われすぎててヤな予感するからさ」。
ヒロインそっくりのアンドロイドはヒロインのフリをして労働者達に革命を提案します。女神様が突然ジャンヌダルクになったので、労働者達はたまりにたまった不平不満に火をつけます。怒り爆発の結果、文字通り工場も爆発です。
労働者のトップは茫然自失「俺ここまでは頼んでないし・・・」。
実はアンドロイドを作ったマッドサイエンティストは富裕層の味方ではなく、まじもんのマッド野郎だったので、巨大都市の機械をすべてぶっ壊して混乱させようと計画してました。
機械が全部壊れた都市は崩壊して大洪水です。水は地下に流れ込みます。
地下の人々大ピンチ! しかも大人たちは地上で機械破壊革命に勤しんでいたので、残されていた子供たちだけがピンチです。
地上で暴れていた労働者の大人たちは子供たちの危険を察知して号泣です。やがてその悲しみは怒りになり、革命を扇動したヒロインそっくりのアンドロイドに向けられます。アンドロイドは焼かれます。ジャンヌダルクの様に・・・
一方、トップの息子は本物のヒロインと地下の子供たちを救出していました。そこへマッドサイエンティストが登場。思ってた以上の地上の混乱にビビったマッド野郎は本物も消しておかないと自分の身がやばいと判断します。
ヒロインを守るトップの息子とマッド野郎が屋根の上で殴り合い。マッド野郎は屋根から落ちます。その様子を富裕層のトップや労働者側の偉い人も見ています。
ケンカに勝利したトップの息子は労働者側の偉い人と富裕層のトップを握手させます。これにて一件落着。メトロポリスは格差是正をしながら再発展してくことでしょう。
めでたしめでたし
はい。僕はこの映画がヒトラーがドイツの首相になるほんの少し前の映画だと考えると歴史的に震えるモノがあると感じました。格差が抱える人間の不安がやがて暴力や犯罪に発展することは歴史的事実ですからね。それを映画は今も昔も描き続けて、我々大衆に訴えているんだと確認しました。正直な話、僕は恐かったです。
んで『メトロクロス』ですよ! こちとらファミコン『メトロクロス』を探しに『メトロポリス』を観たわけですからね。だけど
直接的にはあんまり関係なさそう・・・
しいて言えば、巨大都市メトロポリスってあんまり良いものじゃないよね。ディストピアだよねっていう共通認識があるということは、本当に感じました。
このメトロポリス=ディストピア感が『メトロクロス』の世界観に与えているイメージは間違いなくあると思います。要するに悪夢的なんですよね。悪夢。これです。
こういう認識が岡本さんを始め『メトロクロス』の開発スタッフになかったら、世界観を巨大未来都市のどこかに閉じ込められて走らされている、なんて設定はもってこないと思うんですよね。この点で『メトロクロス』と関係なくはないってところでした。
衝撃の真実! メトロクロスの世界は〇〇だった!!
ではでは、次にストーリーから世界観を考えてみようってわけで、先ずは公式に発布されているストーリーを見てみましょう。
と思って色々と検索していたら・・・!
とんでもく貴重な動画を見逃していたことがわかりましたので、先ずはそれをこちらに貼り付けておきます。
ネット上の動画は予告なく削除されてしまうことが多々あるので、見れなくなっていたらすいません。この動画は『メトロクロス』ファン必見です。見れるうちに見ておいたほうが絶対に吉です。
ナムコ(namco)レトロゲーム開発部 - ニコニコ動画 (nicovideo.jp)
なんと当時の『メトロクロス』の開発風景なんですってこれ~っ!!
この動画の中で、若き日の岡本さんが他のスタッフの方々と楽しそうに制作にあたっている姿が拝見できます。シンセサイザーを弾いていらっしゃるのが大野木さんでしょうか、手書きで絵を描いていらっしゃるのは北原さんでしょうか・・・
すんげー動画あんじゃん!!
正直ここまで書いてきて、いまさら見つけてしまったことに驚いています。自分の下調べの甘さに反省しています。が、深呼吸して冷静になって見てみるとこの動画で僕が驚いたのはこの二点でした。
先ず一つ目は
みんな超楽しそう
うらやましいです。こんなに楽しそうに仕事をしている人達が本当にいたんですね。僕はそれこそファンタジーだと思ってました。ゲーム制作に対する憧れが膨らむよ。なんだこれは! 色とりどりの夢がDOSSARIかよ!
そして二つ目は
ストーリーが漫画で描かれているだって~っ!?
がーん!! すんげー見たい・・・。いや待ってくれえ~。そんなのあるなら、もうそれが原典じゃないですか。『メトロクロス』の世界観のすべてがきっとそこに。
調べてみると、どうやらそのストーリーを描き起こした漫画は『マイコンBASICマガジン』の1985年7月号に掲載されたことがあるらしいんです。な~に~っ!?
まじか~・・・ ちょっとちょっと、それを読まないでストーリーは語れないじゃないですか。
ねえ・・・
ちょっと一回考えさせてください・・・
う~ん・・・
む~・・・
・・・
買いました!
駿河屋さんで買いました。すごいですね。ちょっと高いけど当時の雑誌が実際に手に届くと感慨深いものがあります。
さっそく読んでみたいと思います。と、その前に背表紙は・・・
ほい・・・え?
か、かわいい・・・
若い頃の工藤夕貴がめちゃくちゃかわいくて『メトロクロス』のことを忘れてしまいました。
しばらく気のすむまで工藤夕貴をネット検索したのちに、気を取り直して、ついに中を開いてみましたよ! ちなみに彼女は現在静岡で稲刈りをされていました。う~む。
ありました! 特集記事が!
そしていよいよ漫画の記事です!
おお! では読んでみます。
ふむふむ・・・
なるほど・・・
って、ええええええーーーーー!!!!
なんじゃそりゃ!!!
これが読み終えた僕の感想でした。流石に雑誌の内容を全部掲載してしまうわけにはいかないのでがんばって文章で描写します。
先ず最初にこう書いてありました。
ツタウロ恒星歴 2200年
宇宙は破滅への道を歩んでいた・・・
はい。ツタウロってのは岡本達郎さんの、タツロウのアナグラムですね。恒星歴ってのはなんでしょう。星の誕生から数えてってことなのかな。だとしたらめっさくさ若い星ってことになると思うんですけど、それでいいのか、この設定・・・
宇宙は破滅への道を歩んでいた、と続けるにはあまりにも若すぎる星が舞台の設定。2200年て、多分宇宙の中では赤ちゃんみたいな星ですよ。
んで漫画の内容はこんな感じです。
胸に達郎の達の字がでっかく印字された服を着た主人公が『AKIRA』第2巻に出てくるオリンピック建設現場の地下道そっくりの場所で仁王立ち。そしてこう叫びます。
おれは誰なんだ!!
彼は記憶喪失なんです。そして胸に達の字が入っていても自分が誰か思い出せず、場所がどこかもわからず苦悶します。そして
このどこまでも続く廊下は・・・
なにか巨大な建造物か・・・
それとも宇宙船の内部か・・・
「わからない・・・」と主人公は膝をつきます。僕は「AKIRAに出てくるオリンピック建設現場の地下道だよ! 先へ進むと最後にアキラが眠っているよ!」と教えてあげたくなりました。
そんなことを知る由もない主人公は苛立ちのあまり壁に鉄拳を打ち込みます。
ドカーン
すると、ズズズっという地響きと同時に天井が崩れ落ちてきました。慌てる主人公。もう走り出すしかありません。「うわ~~っ、く、くそ~~っ」
目の前には「この先危険」の立て看板が! しかし止まるわけにはいかない主人公。看板の向こうの穴に向かって決死のジャンプ、「オ~~リャーッ!!」
ドスっという音と共になんとか壁にしがみついて落下を免れた主人公。おそるおそる下を見ると底がわからないほどの高さだとわかります。「うわ~~っ」
しゃかしゃかとパズーのように壁をよじ登り、なんとか足の着ける場所まで到達。「し・・・死ぬかと思った・・・」と呟いた次の瞬間、今度は床が崩れ落ちてしまいます。
わ~~~~
ドスーンという音がしたかと思うと、もくもく砂埃の向こうから巨大な「GAME OVER」の文字が主人公にのしかかります。「あ・・・あほか・・・ オレはまだ死んどらんぞ!!」
と、辺りを見まわすと「ここもまた廊下だ」と気づいたのも束の間、ズゴゴゴという音と共にまたしても天井が崩れ落ちてきます。「え~いなんちゅ~しつこさだっ!」
「いったいいつまでこーやって走ってりゃいいんだ!?」と嘆く主人公、出口はないのか? と走り続けると廊下の向こうに影が見えます。「ありゃあなんだ?」
ゴロンゴロン
「なんと!!」前方から現れたのは転がってくるドラム缶(ジャンボカンじゃない)だったのです。「どーすりゃええんじゃっ!!」
と主人公「はっ」と言う声と共にジャンプ! すると100PTSの文字が宙に浮かびますが彼は気づいていません。「ほっあらよ」小気味よくジャンプでドラム缶をかわす主人公。
「まざっとこんなもんさっ」とかっこよく髪をかき上げたのも束の間、今度は後方から更に大きなドラム缶が廊下いっぱいに転がってきます。「ひえ~っ!!」
すると前方に見えるハシゴ! なんとかハシゴによじ登り難を逃れた彼はハシゴを登り切ります。するとまた別の通路が広がっています。「あっまた通路じゃないか!!」
おそるおそる歩き出すと「人だっ!! 助かるかもしれない!!」と前方に人影らしきものを発見。「お~いっ!!」と喜び走り出す主人公。ところが「な・・・!?」
人影と勘違いしたものの正体は巨大なチェスの駒二つだったのです。勢いよく飛んでくるナイトとクイーン。「こなくそ~~っ」
バキッ 1000PTS
なんと向かってきたチェスの駒に向かって主人公はパンチを繰り出して破壊に成功(まじかい)。「よーしくるならきやがれ!! やったるぜ~!!」
衝撃の格闘シーン
必殺の裏ワザ級格闘術をみせた主人公がさらに進むと「おやっ!?」前方にシャッターが見えてきます。シャッターの上部にはお店の看板よろしく「ROUND1 CLEAR」の文字が。
「・・・そうか・・・これはゲームだったんだ・・・」「誰のしわざか知らんがこったことしやがるぜ」「まてよ! オレはこんなゲームに100円入れた覚えはないぞ!?」
と、イカゲームのような世界の中にいると気づいた主人公。
「そうとわかれば・・・よーし!」「この先何が出ようとやっろうじゃねぇか!」「いくぜーい」READY! START!
と、心を決めて次のラウンドを走り出した主人公。ところが!
メリメリメリメリ
「うわ~~っ」「助けてくれ~」「わ~・・・」
響き渡る主人公の断末魔。
なんと、メリメリと音を立てて通路の壁や天井、床までもが主人公に押し寄せるように圧縮。まるで膨張した力を抑えられない鉄雄に飲み込まれてしまうカオリのように(!!)。 圧死・・・
がばっ
ごく普通のアパートの一室、ベッドの上で目を覚ます主人公「ゆ・・ゆめか・・・」
部屋には窓から穏やかな日の光が差し込み、昨夜遊んでいたチェス盤の駒を照らしています。
「あ~あまったく寿命が10年ちぢんだぜ!」と言ってパジャマ姿の主人公は大きく伸びをします。そして朝の光を浴びようと窓に手をかけ「さぁ~て、と」
あんりゃ!?
窓の外に広がる景色。見慣れた日常がそこあるはずだったのに・・・
そこに広がっている世界は長い無機質な通路。そして中空に浮かび上がる文字は、
ROUND2 READY!
おしまい。
夢オチ~~~~っ!!
かと思ったら
やっぱり現実~~~~っ!!
いやなんじゃこりゃ~~~~~っ!
いや、これ正直驚きの連続でした。ちょっと高かったけど買ってみて本当によかった。傷だらけのランナーは一体どこでなにをやっているのか、この問いの答えは・・・
睡眠中に悪夢を見続けている
ってことになりました。まあ要するに夢オチだったんです。漫画では御法度とされている夢オチ。読者を裏切る行為とされていますが、この作品では夢か現実かよくわからないってことにして一応ひねってありますけど。まあ夢オチですね。
とはいえ、メトロクロスに出てくる長い通路は大友克洋の『AKIRA』に出てくる地下通路がモデルになっていたということに驚きました。むしろこっちでスッキリ溜飲が下がりました。※完全に誤りでした。後述しています。
先に映画『メトロポリス』を紹介しましたが、その映画の影響を受けている『AKIRA』の世界観に更に影響を受けて構築されたのが『メトロポリス』の世界観だったんです。ここまでは間違いないと思います。※ここも完全に間違いでした。すいません。
メトロ
アキラ
あーよかったよかった、わかってよかった。なんて思って、『メトロクロス』の掘り下げも終わりだ~なんて安心していたんです。
ところが!!
主人公の”傷だらけのランナー”こっちに注目していたら巨大な事実に気づいてしまったんです。もうね、完全に僕の間違いでした。
ついさっき溜飲が下がったなんて言ってしまいましたが僕の誤りです。完全に『AKIRA』にばかり目が行ってしまい、気づかなかったんです。
ついに本当の『メトロクロス』の世界観のモデルにたどり着きました。もうこっちで間違いありません。
衝撃の真実! メトロクロスの世界観のモデルはあの超有名映画だった!!
では。行きます。僕は『メトロクロス』の世界観のモデルを、そのタイトルから映画『メトロポリス』に着目して、さらには大友克洋の『AKIRA』にまで考えを進めていました。
そして上記した通り、『メトロクロス』の漫画から『メトロクロス』に出てくるあの廊下は『AKIRA』に出てくる地下施設の通路をモデルにしてるんだなーなんて勝手に納得していたのですが、キャラに目を向けたら気づいちゃったんです。すいません。
こちらをご覧ください。
いかがですか?
もうおわかりですよね。
そうだったんです!! なんと『メトロクロス』の主人公”傷だらけのランナー”のモデルは岡本達郎さんである以前に・・・
がーん。こうなるとさっきの漫画のプロローグが随分違って見えてきます。もう一度見てみましょう。
ツタウロ恒星歴 2200年
宇宙は破滅への道を歩んでいた・・・
言われてみれば超スターウォーズっぽい!!
さらにさらに・・・
この場所って・・・
デススターの内部やんけ~~~~っ!!
はい。僕はもう興奮で震えました。これだからファミコンの掘り下げはやめられない。まさか『メトロクロス』の世界観の正体が『スターウォーズ』だったとは思いもしませんでした。
というわけで、最後に断言いたします。
『メトロクロス』の世界観は映画『スターウォーズ』をモデルに作られており、ランナーの走る通路は同映画のデススターの内部がモデル
ということで、今度こそ間違いないでしょう。ありがとうございました!!
では、いつものように今回も長くなりましたが・・・
『メトロクロス』はランニングアクションゲームの原点であり、語り継ぐべき傑作です! 言うまでもなく再神作!
是非もう一度プレイしてください!!
おまけ
いやあ、タイパなんていう言葉が流行する時代にこんな長いブログにお付き合いいただきありがとうございました。『メトロクロス』の世界観の謎がとけて本当によかったのですが、実は調べている過程でものすごい謎が見つかってしまったので、最後にみなさんとその巨大な謎を共有して終わりにしたいと思います。
正直驚きますよ!!
僕は今回『メトロクロス』のモデルが途中までは本当に『AKIRA』だと思い込んでしました。
なのでそういう目線でマイコンBASICマガジンの『メトロクロス』の漫画を読んだので、最初は「あーアキラやアキラや、これもアキラや~」なんて見ていたんです。
こちらをご覧ください。
初見ではこの主人公が圧死するシーン。なんの疑いもなく『AKIRA』のあのシーンだなって思ったんです。そうです。
このシーンです。
違和感に気が付きましたか? 僕は正直まだ震えています。何が謎なのか・・・
もう一度これを見てください。
1985年7月に掲載
原作にはないアニメ映画だけのこのシーン
1988年7月に公開
『AKIRA』の方が後なんです!
がーーーーん!!
この謎について、なにかわかる方の情報をお待ちしております。
みなさんは偶然の一致だと思いますか? もちろん『メトロクロス』発表以前に発表されていた『AKIRA』の原作漫画には上記のようなシーンは出てきていません。
大友先生が偶然にも読んでいたベーマガの片隅に描かれていた漫画を読んで、このシーンいいなあ、なんて思ったのでしょうか・・・
まったく謎です。
それではまたお会いしましょう!
mojamon-tokidoki.hatenablog.com
mojamon-tokidoki.hatenablog.com
mojamon-tokidoki.hatenablog.com
mojamon-tokidoki.hatenablog.com
mojamon-tokidoki.hatenablog.com